「腰が痛くて歩けない」「脚がしびれて歩けない」「長時間イスに座れない」「歩行時に膝がチクチク痛む」など下半身におけるさまざまな「痛み」で悩んでいませんか?下半身の痛みがあると歩行や外出が億劫になり、精神的にもふさぎ込みやすくなります。適切な治療で、痛みや不安から開放されると、本来の日常生活を取り戻すことができます。

こんな症状、抱えていませんか?

・少しでも動くと腰に痛みが走る
・腰痛、足の痛みで歩くことができない
・くしゃみをした時など突然腰に強い痛みが走る
・かかとにかけて痛みやしびれがある
・仰向けで寝ることができない
・腰痛が3ヶ月以上続いている
・立ち上がりや歩行時に膝が痛い

もしかすると、こんな病気になっているかも?

急性腰痛(ぎっくり腰)

重い物を持ち上げる、かがむ、腰をねじるなど、ふとした動作がきっかけで急に腰が痛くなって動けなくなる状態を急性腰痛といいます。
筋肉、椎間板、椎間関節、椎体など腰の組織のどこかに炎症が起こり、急激に痛みが生じます。
隠れた病気が潜んでいないか、痛みの原因を究明することと並行して、痛みの治療を行います。安静、コルセット着用、鎮痛薬の服薬を基本に、疼痛が強い場合や、早期の除痛が必要な場合には、神経ブロック治療を行います。

坐骨神経痛

腰からお尻を通って足の指先にまで伸びている坐骨神経が圧迫されたり刺激を受けたりすることで生じる痛みを総称して坐骨神経痛と呼びます。お尻から足にかけて痛みやしびれなどの症状を引き起こします。
腰痛、足の痛み(下肢痛)やしびれが起こるだけでなく、痛みによる歩行障害(間欠跛行)を伴うこともあります。神経痛は、一般的な鎮痛薬では抑えることができず、神経痛に特化した治療薬や神経ブロック治療が必要となります。
坐骨神経痛を起こす原因疾患の代表的なものとして、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアがあります。

腰部脊柱管狭窄症

50代を超えた中高年に多くみられる腰部脊柱管狭窄症。脊柱管(神経が通っている背骨の管)が老化により狭くなり、脊柱管の中を通っている神経根(脊髄が分かれて身体の各部分に行く神経の根っこの部分)や馬尾(脊髄の末端の枝分かれした神経の束)が圧迫され、痛みやしびれが起こる疾患です。鎮痛薬やプロスタグランジンE1製剤などの内服が無効な場合には、積極的に神経ブロック治療を行います。症状が軽い場合には、神経ブロック治療のみで痛みが消失する場合もあります。すべての治療が無効な場合には、手術が必要になります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰の椎体間のクッションの役割をしている椎間板が、後方の脊柱管側にせり出し、その結果、脊柱管の中を通っている神経根や馬尾が圧迫されて、腰の痛みや足のしびれ、麻痺などの症状が起こります。お尻の痛みやしびれを感じることが続いたり、歩けなくなるほどの激しい足の痛み、腰(身体)を動かすと足の痛みがある場合は注意が必要です。飛び出した椎間板ヘルニア腫瘤は、自然に縮小あるいは消失することがあり、特別な場合を除き早期(発症後3ヶ月以内)の手術は行われません。各種鎮痛薬や神経ブロック治療による痛みのコントロールが唯一の治療法となります。ただし、排便・排尿障害や、下肢の著しい筋力麻痺を合併する場合には早期に手術が必要となります。

仙腸関節症

骨盤を構成する仙骨と腸骨の間にある仙腸関節が、わずかなズレにより炎症を起こし、腰痛や陰部の痛みの原因となります。診断のつきにくい腰痛症の原因の一つです。超音波検査装置等を使用した正確な仙腸関節ブロック注射により痛みが取れるかどうかにより診断してゆきます(診断的治療)。

慢性腰痛

腰には腰椎と呼ばれる5つの骨がブロックのように積み上がった構造になっており、腰痛の多くは腰椎及びその周辺組織になんらかの障害が起こることで発症します。
原因はさまざまで、原因特定できるのは15%といわれ、代表的なものに圧迫骨折や椎間板ヘルニアなどがあります。残りの85%は原因が特定できないもので、生活習慣やストレスなど心の状態が影響している場合があります。
慢性の痛みの場合は、医師の治療介入(神経ブロック治療や薬を処方すること)が、病院への依存をまねき逆に患者さんの自立や回復を妨げる場合があり注意が必要です。「痛みは自分で乗り越えるしかない」いう自覚を持つこと、規則正しい生活を送ること、痛みから意識的に注意をそらすこと、痛みがあっても運動を継続することなどが、慢性の痛みを克服する鍵となります。

変形性膝関節症

膝関節の軟骨がすり減り、炎症や変形を生じて痛みなどが起こる病気です。痛みや腫れ、膝の曲げ伸ばしの不自由さ、関節の変形などの症状がみられます。正座や階段の昇降が難しくなり、末期になると膝がピンと伸びず歩行困難を合併します。
膝痛に対しては鎮痛薬の処方や、膝関節へのヒアルロン酸注入を行います。膝関節へのヒアルロン酸注入は、関節機能の改善効果が期待できます。合わせて、適正体重の維持や日常動作の見直しなどの生活改善、太ももの筋肉を鍛えるなどの運動療法の指導を行います。治療によっても痛みが持続する場合や、日常生活動作に著しい支障がある場合には、手術が必要となります。