帯状疱疹後神経痛

帯状疱疹の発病年齢が高いほど、
後遺症の「帯状疱疹後神経痛」に悩まされることがあります。

帯状疱疹を発症した後、皮疹が治ってきても、同部にヒリヒリ、ズキズキとして締め付けられるような鈍い痛みが残ることがあります、これを帯状疱疹後神経痛といいます。特に,① 50歳以上,②重症の皮疹,③高度の急性帯状疱疹痛,④皮疹出現に先行する痛みの存在, ⑤免疫機能が低下しているという場合には、帯状疱疹後神経痛が残りやすいといわれています。 帯状疱疹でも皮疹ができているあいだの痛みは 組織の炎症による一般的な急性の痛みですが,帯状疱疹後神経痛は水痘・帯状疱疹ウイルスによって感覚神経がダメージを受けることによって生じる神経痛です。帯状疱疹後神経痛の治療は、薬物療法、神経ブロック治療を組み合わせて行いますが、難治性の場合も少なくありません。

こんな症状、抱えていませんか?

・痛みが強く、眠れないことがある
・ピリピリするような痛みを感じる
・衣服がすれるだけで痛みを感じる
・腕や足の力が弱くなっている

どんな人がなる病気?

帯状疱疹ウイルスによる神経の強い炎症により、神経が強く傷つき(神経損傷)、帯状疱疹後神経痛が発症します。

・皮膚の症状が重症
・眠れないほど強い痛みがある
・60歳以上の高齢者

上記の人は神経痛が残りやすいと考えられており、 積極的な治療が必要です。

帯状疱疹とは?

水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。

帯状疱疹は、身体の左右どちらかにピリピリと刺すような痛みと、赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状にあらわれる病気です。小さい頃に水ぼうそうにかかった場合、治った後も脊髄近くの神経節にウイルスが潜伏し、過労やストレスなどにより免疫力が低下すると、潜伏ウイルスの活動が活発になり、帯状疱疹として発症します。

帯状疱疹後神経痛とは?

気をつけるべき後遺症「帯状疱疹後神経痛」

帯状疱疹は通常、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリするような痛みが継続する場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といい、炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって引き起こされる神経痛です。

 

帯状疱疹後神経痛の治療

投薬治療

薬物療法では、神経痛の治療薬であるCa2+チャンネルα 2 δ リガンドであるプレガバリンやミロガバリン、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるデュロキセチン、三環系抗うつ薬(TCA)であるアミトリプチリンが使用されます。トラマドール,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、漢方薬を併用する場合もあります。詳しくはこちら…

神経ブロック療法

帯状疱疹の治癒を早め、帯状疱疹後神経痛への移行を防止するために神経ブロック治療を積極的に行います。神経ブロックは局所麻酔薬を使用し、神経の血流改善や神経の興奮伝導を遮断することにより効果を発揮します。状況を見て繰り返し行うことが必要です。 神経ブロック治療は、帯状疱疹を発症後に帯状疱疹後神経痛に移行するまでの3~ 6か月間は有効なことが多く、痛みが強い場合には積極的に行うべき治療法です。 詳しくはこちら…

頭痛

頭痛は、誰もが一度は経験したことのある、ありふれた痛みです。その原因は、生命に関わる重篤な疾患から機能的な異常まで多岐にわたります。

緊張型頭痛

頭痛の中で最も多い疾患です。患者さんは軽度~中等度の締めつけられるような痛みを訴えます。痛みは両側性であることが多く、発作的な痛みを繰り返すものや、長時間痛みが持続するものなど色々なパターンがあります。頭痛の中では比較的症状は穏やかで、日常の生活動作に支障をきたすことはほとんどありません。原因は、頭頚部筋群の筋緊張による虚血(疲労)が関与するとされています。 薬物療法だけではなく、肩こり体操などの運動療法やトリガーポイント注射、星状神経節ブロックなどのブロック療法が有効です。

片頭痛

片頭痛の好発年齢は20~40歳で、痛みは、中等度から重度であることが多く、発作時には寝込んでしまうこともあります。睡眠不足や、肩こり、過労、眼精疲労などが発作の誘発因子となります。前兆がある場合もあります。発作時の痛みは、拍動性(ズキンズキン)のことが多いといわれていますが、非拍動性のこともあり、患者により症状は様々です。また、必ずしも片側性に症状が現れるわけではなく、両側性のものや、左右交互に症状が現れるものもあります。治療は薬物療法が基本となります。トリプタン製剤、NSAIDs、アセトアミノフェンが使用されます。中等度以上の痛みにはトリプタン製剤が有効です。トリプタン製剤は効果発現までに時間がかかるため、早期(前兆時)に服薬することが重要です。

顔の痛み

顔面痛を呈する疾患の代表が三叉神経痛です。食事や会話、洗顔、歯磨きなどの日常生活動作で痛みが出現、増悪するために、患者さんのQOLを著しく損ないます。

三叉神経痛

三叉神経痛は、三叉神経の支配領域(顔面や舌)に激しい痛みを生じる疾患です。疼痛発作のない間欠期には痛みが完全消失しますが、顔面、口腔への軽微な刺激で電撃痛が誘発されます。頭蓋内の三叉神経の機械的な圧迫により発症すると考えられています。圧迫の原因のほとんどは、神経のそばを走行する血管が多いようです。まれに脳腫瘍などが圧迫の原因となります。 治療の第一選択薬はカルバマゼピンです。何らかの理由でカルバマゼピンが使用できない場合には、バクロフェンや漢方薬等が使用されます。その他、神経ブロック療法、神経血管減圧術、ガンマナイフによる治療が一般的には行われています。

その他の神経痛

開胸術後疼痛症候群

開胸手術の後、胸の痛みが長期に渡り継続します。肺や食道などの開胸手術時に末梢神経や周辺組織がダメージを受けることにより発生します。手術を受けた全ての人に発生するわけではなく、一部の人に長期にわたる痛みが残る場合があります。
薬物療法・神経ブロック療法など種々の治療法を組み合わせて対応します。

末梢神経障害

運動神経、感覚神経、自律神経。
これらの神経がダメージを受けることを「末梢神経障害」と言います。体全体にはりめぐらされた、末梢神経に異常が発生することにより痛みが出現します。物理的な神経の圧迫や糖尿病などの内科的疾患の合併によって神経痛が発生する場合があります。
薬物療法・神経ブロック療法など種々の治療法を組み合わせて対応します。